29/08/2026
「ノンアルコール」という一語でまとめられている棚のなかに、まったく出自の違う飲みものが混ざって並んでいます。造り手から見ると、これらは別の生き物です。
国際的な調査会社IWSRは、この領域を「アナログ(酒に似せた飲みもの)」と「隣接飲料」に分けています。そして今回、隣接飲料についての理解が自分たちのなかで大きく変わりました。
隣接飲料は「お酒から離れた飲みもの」だと思っていたのですが、データはむしろ逆でした。健康を理由に選んだ人は26%で、ノンアルワイン(40%)より低い。上位に来たのは「機能性成分を通じてアルコールに似た効果を得るため」。つまり、酔いという体験を別の分子で再現しようとしている飲みものだったのです。
だとすれば、私たちが立てている問いは逆向きです。「アルコールの効果を取り除いたとき、そこに何が残るのか」。
残るのは、香りと、苦みと、余韻と、グラスを合わせる時間。私たちはそれで十分だと考えています。というより、お酒の面白さの大部分はもともとそちら側にあったのではないか、と。蒸留所を営んでいるからこそ、そう言えます。
似せて造ることも、抜いて造ることも、別の道を行くことも、優劣はありません。選択肢が三本あること自体が大事だと思っています。
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