新川屋田島酒店

新川屋田島酒店 新川屋田島酒店のご案内

こんにちは、スタッフの塚田です。過ごしやすい陽気が続いていますね。お店には夏酒が続々と届いています。そんな中昨日、京都の木下酒造から杜氏のフィリップハーパーさんがいらしてくださいました。長い造りを終え、久しぶりに東京に出てきて新鮮だと仰って...
09/05/2025

こんにちは、スタッフの塚田です。
過ごしやすい陽気が続いていますね。
お店には夏酒が続々と届いています。

そんな中昨日、京都の木下酒造から杜氏のフィリップハーパーさんがいらしてくださいました。長い造りを終え、久しぶりに東京に出てきて新鮮だと仰っていました。

そして本日、木下酒造の夏酒『アイスブレーカー』も入荷いたしました!

もともと『アイスブレーカー』は梅雨のジメジメとした蒸し暑さを吹き飛ばすべく、氷を入れて爽やかに味わってもらおうと誕生したお酒だったそうです。

日本酒ではあまり馴染みのないロックや、ソーダ割り。当然お酒は薄まりますが、それでもしっかりと飲みごたえがあるのが玉川です!

夏のお酒のイメージが強い『アイスブレーカー』ですが、お燗にしても美味しいため、冬でも楽しまれています。
そして、お燗にすることで、しっかりとしたボディが膨らみ、奥行きや旨みをさらに味わえます。お燗にする温度も、アツアツのカンカンでOK!夏場は、それにクラッシュアイスをぶち込んだ燗ロックもおすすめ!

ハーパーさんにお話しを伺うと、やはりお米の高温障害による質の変化や価格の高騰は、悩ましい問題のようです。
特に北錦や五百万石は収穫期が高温になる時期と重なるため、溶けにくかったり、割れやすかったり影響が大きかったようです。そんな状況下で、造りもお米の状態に合わせて工夫を強いられたそうです。

ハーパーさん曰く、今まで積み重ねてきた経験を一度リセットして造りに向き合ったそうです。その甲斐あって、今年の玉川はどれも当たり年、渾身の出来だと仰っていました。

北錦や五百万石よりも晩生の雄町や山田錦はまだ状態がよく、さらに高温に強いHyogo Sake85なども導入して、今年も玉川らしくボディのしっかりとしたお酒が出来上がったようです。

冷蔵庫に入っている方が不安になるとおっしゃるハーパーさんの言葉通り、その辺に転がしておいて酒質が熟していくのも玉川の醍醐味。ロックから熱燗までどの温度帯でも楽しめる玉川。BY表記をしているので、BY違いで楽しむファンが多いのも玉川の特徴です。とにかく自由に楽しんでほしい!そんなハーパーさんの想いが感じられます。

ワインでいえばフルボディの赤!そんな玉川のお酒は海外の方にもファンが多いそうです。特別純米の火入れは実はイギリスで人気があるそうです。

かく言うワタクシも玉川の大ファンです。いちばん好きなのは『山廃 無濾過生原酒 雄町』。数あるラインナップの中でワタクシの私情で死守している商品です。

ぜひ皆様にも、日本酒の固定概念に縛られず、自由にお楽しみください!

#玉川 #山廃 #無濾過生原酒 #雄町 #木下酒造 #燗ロック #日本酒ソーダ割り #京都

ゴールデンウィークの営業時間のご案内改訂版です。5月3日(土)はお休みの予定でしたが、店舗のみ営業することにいたしました。ぜひ足をお運びください。お待ちしております!
28/04/2025

ゴールデンウィークの営業時間のご案内改訂版です。
5月3日(土)はお休みの予定でしたが、店舗のみ営業することにいたしました。
ぜひ足をお運びください。
お待ちしております!

ゴールデンウィークはカレンダー通りのお休みとなります。4月28日は月曜日ですが、火曜日ルートの飲食店の配達を承ります。よろしくお願いいたします。
14/04/2025

ゴールデンウィークはカレンダー通りのお休みとなります。4月28日は月曜日ですが、火曜日ルートの飲食店の配達を承ります。よろしくお願いいたします。

柳田酒造 その16『人生最高チキン南蛮』最後に都城グルメで耳よりな情報をひとつ。柳田さんは、私たちをランチに連れて行ってくださいました。それは、柳田さんが昔からの行きつけで、チキン南蛮がおいしいお店。『おっ!』と思われた方いらっしゃいますで...
14/04/2025

柳田酒造 その16

『人生最高チキン南蛮』

最後に都城グルメで耳よりな情報をひとつ。

柳田さんは、私たちをランチに連れて行ってくださいました。

それは、柳田さんが昔からの行きつけで、チキン南蛮がおいしいお店。

『おっ!』

と思われた方いらっしゃいますでしょうか?

万膳酒造の博幸さんと風呂に入っている時に聞いた『人生最高チキン南蛮』のエピソード、覚えている方がいたらうれしいです。

私は『おっ!』と思いました。

きっと博幸さんが言っていた骨付きのチキン南蛮だたと思いました。

到着したのは喫茶店のような佇まいのかわいらしいお店で、駐車場はすでにほぼいっぱいでしたが、なんとか駐められ、入店することができました。

席に通された私達は迷わず骨付きもも肉のチキン南蛮定食を注文。

そして超絶ビジュアルのそのお料理を運んでくださったお姉さんが、『朝どれです』とにこやかに配膳してくださいました!

10年以上農家をやっていた私ですが、野菜以外で『朝どれ』という言葉を聴いたのは初めてでした。

香ばしい色に仕上がった骨付きのもも肉にタルタルソースがたっぷりとのせられ、ジューシーな肉汁とソースがお皿に滴っていました。

ナイフを入れると柔らかくてジューシーなお肉がほどけ、口いっぱいに旨みが広がってエンドレスお米状態でした。

私にとっても『人生最高チキン南蛮』となっためちゃうまお料理でした。

ぜひ皆さまも都城を訪れた際は『レストランRYU』で朝どれチキン南蛮をご賞味ください。

柳田さん、本当にありがとうございました!
これからも引き続き魅力的な焼酎の世界を、私たちに見せてください。

今回お伝えしきれなかった『青鹿毛』の魅力や、『おいしい湯割りとソーダ割りの作り方』なども、しっかり咀嚼吸収して、皆さまにお伝えしていきたいと思います。

長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました!

柳田酒造 その15『オクトとレフコス』米麹とサツマイモの配合比率を1:8にする、ということは相対的に、使用する米のを少なくすることができる、ということにもつながります。そこで柳田さんは、麹米に食用米を使用し、サツマイモの配合割合を1:8にし...
14/04/2025

柳田酒造 その15

『オクトとレフコス』

米麹とサツマイモの配合比率を1:8にする、ということは相対的に、使用する米のを少なくすることができる、ということにもつながります。

そこで柳田さんは、麹米に食用米を使用し、サツマイモの配合割合を1:8にした『オクト』と、1:5の『レフコス』という商品を発売しました。

『オクト(oct)』とは、ラテン語の 『octo』に由来し、『8』を意味します。そうです、『オクトパス』の『オクト』。麹米とサツマイモの配合割合を1:8にしたことに由来します。

「レフコス(Lefkos)」はギリシャ語で 「白」 を意味する言葉です。古代ギリシャ語の 「λευκός (leukós)」 に由来します。

ここで柳田さんによる、『千本桜 熟成ハマコマチ』『千本桜 熟成ハマコマチ オクト』『千本桜 熟成ハマコマチ レフコス』の紹介文を、一部抜粋してご紹介します。

(以下柳田さんの紹介文)

柳田酒造は原料は全量一定期間貯蔵し糖化させて仕込んでおります。当歳で製造したハマコマチ製焼酎を宮崎県食品開発センターで分析を行ってもらった結果、柑橘の香りが特徴をもつリナロール、芋焼酎の甘さに寄与するβダマセノン、紅茶の香りやスミレの香りをもつBイオノンの値が増加することが判っております。

今回、麹米に「み系 358」を使用した従来の『千本桜熟成ハマコマチ』に加え、試験的に国産食用米を使用して2種類の仕込を行いました。ひとつは、麹米品種以外は通常の『千本桜熟成ハママチ』と同じ条件のもの。もうひとつは米麹が1に対し8倍のハマコマチを仕込んたものです。

芋焼酎の配合比は米麹の量1に対し5倍の芋で仕込むのが一般的です。1:8の配合比率は鹿児島大学の高峯和則教授の研究により新しい焼酎の可能性として示されました。

『千本桜 熟成ハマコマチ』
⚪︎芋:ハマコマチ(宮崎県・鹿児島県産)
⚪︎麹米:み系358(宮崎県産米)
⚪︎配合比:米麹1:芋5
⚪︎麹菌:黒麹(河内源一郎商店製)
⚪︎酵母:鹿児島5号
⚪︎蒸留方法:常圧蒸留
⚪︎アルコール:25度

『千本桜 熟成ハマコマチ【レフコス】』
⚪︎芋:ハマコマチ(宮崎県・鹿児島県産)
⚪︎麹米:食用米(国産)
⚪︎配合比:米麹1:芋5
⚪︎麹菌:黒麹(河内源一郎商店製)
⚪︎酵母:鹿児島5号
⚪︎蒸留方法:常圧蒸留
⚪︎アルコール:25度
⚪︎特徴:芳醇、コクがある

『千本桜 熟成ハマコマチ【オクト】』
⚪︎芋:ハマコマチ(宮崎県・鹿児島県産)
⚪︎麹米:食用米(国産)
⚪︎配合比:米麹1:芋8
⚪︎麹菌:黒麹(河内源一郎商店製)
⚪︎酵母:鹿児島5号
⚪︎蒸留方法:常圧蒸留
⚪︎アルコール:25度
⚪︎特徴:15%に加水することで華やかな香りが開きます
(以上柳田さんの紹介文)

いかがでしたでしょうか。

私の文章が、柳田さんの情熱と理想を少しでも理解する助けとなっていたらうれしいです。

ですが、私は柳田さんに頼まれて『千本桜 熟成ハマコマチ』の卵の中身をお伝えしたわけではありません。

柳田さんはただ娘さんが成人したのち、柳田さんの造ったお酒を飲んで『おいしい』と思ってもらえればそれでいいのかもしれません。

そして皆さまにも、ただお酒を飲む時間を楽しんでほしいだけかもしれません。

難しいことを考えず、気の合う仲間と楽しい時間を共有するのも、お酒の魅力のひとつですね。

そして、ここまで長い文章にお付き合いくださった皆さま、ありがとうございます。

私のようにひとりでお酒と向き合ってニヤニヤするのが好きな方の、1ニヤニヤに貢献できていたらうれしいです。

そしてはじめにお伝えした通り、飲みの席で迂闊に長尺で一方的に話し始めると、多くの人には嫌がられます。

もし、その手の話のインプットが飽和して、アウトプットしなければ体調に不調をきたしそうだがする場がなくて困っているという方、ぜひ私にシェアしていただけたらうれしいです。

柳田酒造 その14『低アルコールで華やかな焼酎』皆さまは焼酎はどのような飲み方がお好きでしょうか。ロックやストレート、お湯割りや水割り、炭酸割りなど、お好みの方法で楽しんでおられると思います。一般的に流通している焼酎は、だいたいアルコール度...
14/04/2025

柳田酒造 その14

『低アルコールで華やかな焼酎』

皆さまは焼酎はどのような飲み方がお好きでしょうか。

ロックやストレート、お湯割りや水割り、炭酸割りなど、お好みの方法で楽しんでおられると思います。

一般的に流通している焼酎は、だいたいアルコール度数が25%に調整されています。

そして一般的な芋焼酎は、米麹を使って一次もろみを仕込み発酵させ、そこにサツマイモを投入して2次もろみとして発酵させ、その液体を蒸留して、焼酎となります。

この時、米麹とサツマイモの割合は、一般的に米麹1に対してサツマイモ5、つまり1:5の配合比で造られるのが一般的です。

まとめますと、私たちが『一般的』にいただいている芋焼酎は、米麹とサツマイモの配合比1:5の割合で仕込まれ、アルコール度数25%に調整された芋焼酎ということになります。

ここで、米麹とサツマイモの配合比を1:1から1:10まで10パターンで仕込んだもろみをそれぞれ蒸留した焼酎に加水して、アルコール度数25%と、15%の焼酎を造ります。それをそれぞれで飲み比べる、という実験を行った結果のデータがあります。

その実験では9名のパネラーによる官能評価試験が行われました。

結果、アルコール度数25%の焼酎の場合、配合比1:5の香りが、最も『芋焼酎らしい』と評価されました。

これは、仕込み配合1:5の芋焼酎に普段から飲み慣れている為、と考えられます。

そして、仕込み配合1:8の芋焼酎に対して、最も『華やか』な香り、最も『濃厚』な味という評価が下されました。

仕込み配合1:1の焼酎に対しては、最も『淡麗』と評価されました。

他の、『麹香』『甘味』『渋味』に対しては、配合比率による差は認められませんでした。

次に、アルコール度数15%の芋焼酎に対しても同様の官能評価試験が行われました。

その結果は、仕込み配合1:8の焼酎に対して最も『華やか』な香り、最も『甘味』を感じるという評価になったそうです。

対し仕込み配合1:5の焼酎は最も『淡麗』な味、という評価になりました。

つまり、アルコール度数15%の芋焼酎の場合、仕込み配合が1:5よりも、仕込み配合が1:8の芋焼酎の方が、香りは『華やか』で、味は『甘味』があり『濃厚』という結果が得られたのです。

これはどういうことかというと、アルコール度数25%の芋焼酎4に対して、6の水ないし炭酸水で割った時(アルコール度数15%)、米麹とサツマイモの仕込み配合が1:5の芋焼酎よりも、1:8の芋焼酎の方が、『華やか』な香りで、『甘味』があり『濃厚』な味わいに感じるという結果になった、ということです。

簡単に言うと、ソーダ割りにした時は、仕込み配合1:5の芋焼酎よりも、1:8の芋焼酎の方が『華やか』で『甘味があって濃厚』な味わいを感じる、ということになります。

びっくりですね!

14/04/2025
柳田酒造 その13『焼酎麹用米専用品種み系358』柳田酒造で主に使われている麹用の米は『み系358』という加工用米品種です。『み系 358』は宮崎県総合農業試験場において,多収の「南 海 141 号」を母,いもち病に強い「東北 195 号」...
14/04/2025

柳田酒造 その13

『焼酎麹用米専用品種み系358』

柳田酒造で主に使われている麹用の米は『み系358』という加工用米品種です。

『み系 358』は宮崎県総合農業試験場において,多収の「南 海 141 号」を母,いもち病に強い「東北 195 号」を父とし て 2008 年度に交配した組合せから育成され,2015 年から 普及に供されています。

出穂期・成熟期は「まいひかり」より 2 日早く、暖地で は“晩生の中”に属し、玄米収量は「まいひかり」より2割 程度多く多収である。

短稈で倒伏に強く、いもち病の圃場抵抗性遺伝子を持ち、いもち病に強い。

玄米千粒重は 28.8g と大粒で他の主食用米品種との識別が可能。大粒のため心白粒や腹白粒の発生が見られ品質はやや劣る。

以上の特徴を持つお米です。

ここで、宮崎県特産の食用米『夏の笑み』と『み系358』をそれぞれ麹米として焼酎を造り、比較したデータがあります。

まずは『出麹酸度』に注目してみたいと思います。

出麹(でこうじ)とは出来上がった麹を麹室(こうじむろ)から出す操作のことですが、焼酎造りにおいて安全な発酵を図るため出麹の際の麹の酸度は、5以上が望ましいといわれているようです。

この酸はクエン酸で、白麹菌や黒麹菌は多量のクエン酸を生成します。このクエン酸によりもろみ中のpHが下がり有害菌の増殖が抑えられるため、腐造のリスクが下がります。

この為『出麹酸度』は、安全醸造の重要な指標となっています。

では実際に『出麹酸度』を見てみると、み系358製(黒麹)が7.8、夏の笑み製(黒麹)が7.2といずれも良好な数値を示しました。

出麹酸度が高いほど、クエン酸の影響で一次もろみの酸度は高くなります。

そしてある研究では、一次もろみの酸度が高くなるほど出来上がった芋焼酎の『リナロール』と『β-ダマセノン』の濃度が高くなった、という報告があります。

これは、いずれも蒸留時の熱化学反応によって生成される成分であり、その反応が酸性条件下であればあるほどで促進されるから、と考えられます。

つまり『出麹酸度』がしっかり上がるということは、柳田さんの目指す理想の香りの獲得にも大事な要素と言えそうですね。

続きまして、麹のハゼ込み具合ですが、夏の笑み製(黒麹)に比べてみ系358製(黒麹)はしっかりとハゼ込み、『総ハゼ』になっていました。

『総ハゼ』の麹は糖化酵素が多く作られるため、お米のデンプンを糖に換える糖化力が強く、糖をエサとする酵母の動きが活発になる為、一次もろみの順調な発酵が期待できます。

ちなみに『ハゼ』とは、『破精』と書き、麹菌の菌糸が繁殖して蒸米に食い込んでいく様子を表しています。

『総ハゼ』とは、麹菌の菌糸が蒸米にまんべんなく食い込んだ様子を表します。

これに対し『突きハゼ』があり、『総ハゼ』に比べ半分くらいのハゼ込みで、局所的に麹菌が繁殖している状態です。

この『突きハゼ』は『総ハゼ』に比べて糖化力が弱いためもろみの発酵は穏やかになりますが、同時にアミノ酸など雑味の要因となる成分の生成を抑えることができ、ゆっくりと時間をかけて発酵させたい、日本酒の吟醸造りなどでは、『突きハゼ』を造るテクニックを使ったりもします。

続いて出来上がった芋焼酎の香気成分を比較してみると、み系358製(黒麹)は夏の笑み製(黒麹)に比べ、『モノテルペンアルコール』及び『β-ダマセノン』の濃度が高い、ということがわかりました。

『モノテルペンアルコール』の中でも柳田さんが注目する『リナロール』について見てみると、夏の笑み製(黒麹)が101(μg/L)に対しみ系358製(黒麹)が199(μg/L)と約2倍近く高い数値を示しています。

さらに一部が『リナロール』に変換する『ネロール』と『ゲラニオール』の値も、『ネロール』が約3倍、『ゲラニオール』が約2.6倍と、高い値を示しています。

続いて『β-ダマセノン』を見てみると、夏の笑み製(黒麹)が15(μg/L)に対し、み系358製(黒麹)が19(μg/L)と上回っています。

そして、実際に出来上がった焼酎を飲み比べた官能評価では、み系358製(黒麹)の芋焼酎は、『甘味がある』『旨みがある』『原料特性がある』『華やかである』等のコメントが得られています。

以上のことからも、『み系358』というお米が、柳田さんが目指す理想の香り獲得のために適している品種である、ということがわかると思います。

しかしながら先程も述べた通り、お米の価格高騰は、頭の痛い問題だと思います。

ここで、柳田さんが行ったおもしろい試みについてご紹介させていただきます。

柳田酒造 その12『ハマコマチ』柳田酒造から車で15分ほどの場所に、九州でも随一の桜の名所、母智丘(もちお)公園があります。母智丘公園には『九州沖縄農業研究センター 』の都城研究拠点があり、ここではたくさんのサツマイモの新品種を育種していま...
14/04/2025

柳田酒造 その12

『ハマコマチ』

柳田酒造から車で15分ほどの場所に、九州でも随一の桜の名所、母智丘(もちお)公園があります。

母智丘公園には『九州沖縄農業研究センター 』の都城研究拠点があり、ここではたくさんのサツマイモの新品種を育種しています。

そして今回の主役『千本桜 熟成ハマコマチ』の原料芋である『ハマコマチ』も、ここで誕生した品種だそうです。

その特徴は、なんといっても鮮やかなオレンジ色の果肉。私達が伺った日に、ちょうどもろみに蒸した原料芋を投入する『芋かけ』という作業をしている様子を見させていただきました。

鮮やかなオレンジ色のサツマイモがが破砕さもろみに投入されていく様子は、なんとも印象的でした。

鮮やかなオレンジ色の果肉をもつ『ハマコマチ』ですが、このオレンジ色はニンジンなどと同様に、『β-カロテン』という色素成分が豊富に含まれていることによるものです。

『β-カロテン』は、蒸留時の熱化学反応により『β-イオノン』を生成します。

その香りは『紅茶』のような香りで、『ハマコマチ』などのオレンジ色果肉を持つのサツマイモ品種を使った芋焼酎に特徴的な香気成分です。

つまり『β-カロテン』がほとんど含まれていない『コガネセンガン』のような黄白色や、『アヤムラサキ』のような紫色の果肉を持つサツマイモで焼酎を造っても、『β-イオノン』由来の『紅茶』のような香りは生まれない、ということになります。

さて、柳田さんが注目している成分のうち、『β-イオノン』を多く獲得できることがわかった『ハマコマチ』というサツマイモですが、他の2つ『β-ダマセノン』と『リナロール』については、どうなのでしょうか?

原料サツマイモの特性と芋焼酎の特徴香成分を比較した、ある実験があります。

それは、『コガネセンガン』などの黄白色系、『アヤムラサキ』などの紫系、『ハマコマチ』などの橙系、全部で25品種を使用して、それぞれ芋焼酎を造り、検出された香気成分の濃度を比較したものです。

その結果としてなんと、25品種すべてのサツマイモのうち、『ハマコマチ』が最大濃度を記録した香気成分が3つもありました。

それが『β-ダマセノン』、『リナロール』、『β-イオノン』だったのです。

つまり『ハマコマチ』は、現時点で柳田さんが求める香り、つまり娘さんが好む香りを持った焼酎を造るのに、理想的なサツマイモである、といえると思います。

実際に『ハマコマチ』を使った芋焼酎の官能評価では、「甘い香り」「甘い柑橘香」「甘い花の匂い」「甘い果実香」「青リンゴの匂い」「マーマレードの匂い」「缶詰めのみかんの匂い」などのコメントが得られているようです。

甘い香りを基調としながら柑橘香や花の匂い、果実香などを併せ持っていて、さらにその香りは継時的に、また香りを嗅ぐごとに多彩に変化する、そんな魅力的なサツマイモ品種が『ハマコマチ』なのです。

近年、基腐病(もとぐされびょう)などで、『コガネセンガン』などの品種が被害を受けて収量が減っている、という話をよく聞きます。

ですが『ハマコマチ』は、柳田さんの契約農家さんの努力により、生産量が年々伸びて安定してきているそうです。

しかしながら担い手不足や天候不順による収量低下がもたらす、『麹用原料米』の価格高騰は、柳田さんにとっても悩みの種のようです。

次に、麹造りに使うお米についてご説明させていただきます。

柳田酒造 その11『pentatonic ToxoTis』(ペンタトニック トクソーティス)さて、ここまでの説明で焼酎の個性を決める卵一個に、理想の香りをピックアップして閉じ込めることは可能、ということが少しおわかりいただけたかと思います。...
13/04/2025

柳田酒造 その11

『pentatonic ToxoTis』(ペンタトニック トクソーティス)

さて、ここまでの説明で焼酎の個性を決める卵一個に、理想の香りをピックアップして閉じ込めることは可能、ということが少しおわかりいただけたかと思います。

ここで実際に、柳田さんが何をやっているのか、先日発売された『pentatonic ToxoTis』(ペンタトニック トクソーティス)の説明文を抜粋して紹介させていただきます。

(以下、柳田さんの紹介文抜粋)

『pentatonic シリーズ』は、宮崎県食品開発センターと松露酒造株式会社、柳田酒造の共同研究により開発したもので、これまでにない全く新しい蒸留方法を用いた焼酎です。

近年、様々なさつまいもの品種が焼酎の原料に採用され、芋焼酎の表現の幅が一気に拡がりました。

さつまいもの品種の違いにより芋焼酎の酒質が大きく変わることが一般的に知られておりますが、芋焼酎の特定の香りを高められる新しい蒸留方法を見つければ、芋焼酎がさらに面白くなるのではとの思いから開発を進めております。

第3弾となる今回の pentatonic は、ハマコマチを原料にした芋焼酎を2回蒸留した原酒を、バーボン樽で熟成させたものを発売します。

酒税法の関係で食物繊維を加え品目をリキュールとしております。

pentatonicはさつまいものもろみを2回蒸留します。1回目の蒸留で香り成分を作らせ2回目の蒸留で特定の香りを抜き出します。

〇1回目の蒸留の役割り
様々な芋焼酎の香り成分のうち、①リナロール、②βダマセノン、そしてハマコマチなどのオレンジ手製の焼酎特有の香り③βイオノンに注目しました。

1. リナロールは、芋焼酎の魅力的な柑橘の香り成分です。さつまいもの中に配糖体を麹菌が作る酵素(βグルコシターゼ)と蒸留時の熱によってリナロールが生成されます。
2. βダマセノンは、芋焼酎の甘さに最も影響を与えると言われる成分です。発酵時ではなく蒸留時の熱によって生成されることがわかっております。
3. βイオノンは、アールグレイのような紅茶の香り、マンゴーやパッションフルーツの香りを連想させる香りです。ハマコマチのようなオレンジ色の果肉を持ったさつまいも髪の焼酎に特有の香りです。ハママチの果肉に含まれるβカロテンが蒸留時の熱により分解され、生成されると言われております。

つまり、リナロールやβダマセノン、βイオノンなどの香りはは発酵時に生成されるものでなく蒸留の熱によって最終的に生産されるものです。pentatonic では1回目の蒸留でこうした成分を造ることを目的とします。

〇2回目の蒸留の役割り
pentatonic は2回目の蒸留のときに特定の沸点区分を抜き出します。芋焼酎の様々な香り成分は、成分ごとに溜出されるタイミングが異なります。どの溜出区分を抜き出すかにより。キャラクターの違う芋焼酎が狙ってつくれます。リナロールやβダマセノン、βイオノンのビーク時のタイミングでうまく抜き出せることができれば、より特徴的な芋焼酎を造ることが期待できます。

後臭を低減し香りをリッチにさせる蒸留手法は国税局鑑定官の宮本先生らの指導により複数の泡盛の蔵元が商品化に成功しております。

〇樽熟成の役割り
2回蒸留させることによって、あと口の柔らかさや丸味が足りなくなってしまう問題がありました。この課題を解決するためのひとつの方法として、樽熟成という試みを行いました。樽には芋焼酎と相性のいいバーボン樽を使用しました。

(以上柳田さんの紹介分)

いかがだったでしょうか?

ここまで私にお付き合いいただけた皆さまでしたら、柳田さんの言葉が今までよりもより高い解像度で、ご理解いただけたのではないでしょうか。

#柳田酒造 #宮崎県 #都城市 #芋焼酎 #麦焼酎 #千本桜 #青鹿毛 #熟成 #ハマコマチ #βダマセノン #リナロール #βイオノン #ペンタトニック #トクソーティス

柳田酒造その10『β-イオノン』柳田さんが注目する成分3つ目は!『β-イオノン』です。『ハマコマチ』などの、果肉の色がオレンジ色をしたサツマイモ(橙系サツマイモ)を材料として造られた芋焼酎には、特有の香気成分があります。それが『β-イオノン...
13/04/2025

柳田酒造その10
『β-イオノン』

柳田さんが注目する成分3つ目は!

『β-イオノン』です。

『ハマコマチ』などの、果肉の色がオレンジ色をしたサツマイモ(橙系サツマイモ)を材料として造られた芋焼酎には、特有の香気成分があります。

それが『β-イオノン』が発する『紅茶のような香り』です。

『β-イオノン』は、『β-ダマセノン』と同様、その匂い閾値(いきち)が非常に低いという特徴を持つ、ノルイソプレノイド系化合物のひとつです。

ピノ・ノワールの赤ワインにも含まれる香気成分で、『スミレ様』とも評されます。

では『β-イオノン』は、どのようにして生成されるのでしょうか?

『β-カロテン』を蒸留水に懸濁して加熱すると、『β-カロテン』が分解されて『5,6-エポキシ-β-イオノン』を経て『β-イオノン』が生成されるという報告があります。

つまり、『β-イオノン』は『β-カロテン』から作られるということがわかっています。

『β-カロテン』は、私も耳馴染みのある用語ですが、ニンジンなどにも多く含まれるオレンジ色の色素ですね。

そうです、橙色系の果肉を持つサツマイモで造った芋焼酎特有の香り『β-イオノン』はそのまま橙色の色素『β-カロテン』が元になっていたのですね。

『β-カロテン』が蒸留時の熱化学反応により、『β-イオノン』に変化していた、ということはわかりました。

ではやはり蒸留が『β-イオノン』発現のトリガーになっていたということは、その溜出挙動は、『β-ダマセノン』や『リナロール』と同じ、『中留区分頂点型』なのでしょうか?

実は『ハマコマチ』を使ったもろみを蒸留した『β-イオノン』の留出挙動は、初留区分で留出液濃度が最高となる『初留区分頂点型』でした。

これはつまり、蒸留の前半部分の焼酎に、『β-イオノン』の香りが多く含まれる、ということになり、『β-イオノン』は蒸留に先立ちもろみ中に存在していたと考えられます。

ではどのようなメカニズムで、蒸留前のもろみに『β-イオノン』が存在していたのでしょうか?

これについては、私が調べた限りわかりませんでした。

その一方で、蒸留の終点としているカットポイント(エタノール濃度が10.2%)においても、『β-イオノン』濃度が、最高値の4割ほどを記録していることから、『β-イオノン』は蒸留中においても、加熱生成していることもわかります。

このことから『β-イオノン』は『β-カロテン』
が蒸留時の熱化学反応によって生成される経路と、なんらかの方法でもろみ中にすでに生成されている経路と、複数の反応により発生しているということがわかりました。

『溜出挙動』にのみ注目してみると、柳田さんが注目している3つの成分『β-ダマセノン』『リナロール』『β-イオノン』は、蒸留の初期から中期にかけて多く含まれることがわかります。

このことから、蒸留初期から中期の溜出液を抽出することで、『甘くて柑橘系の香りと紅茶の香り』の強い焼酎ができる、ということがわかりました。

ところで、『β-イオノン』の香りは、嗅覚受容体遺伝子の配列により、香りを極端に感じにくい人の割合が50%という報告があるそうです。

簡単に言うと、遺伝によって約半分の人間は『β-イオノン』の香りを感じない。

今更「えーーー⁉︎」って感じですよね。

そういえば、芽キャベツが苦くて苦手という人が、白人の方は30%くらいいるらしく、これには遺伝が関係しているらしい、という話を聞いたことがあります。

そもそもお酒自体、飲める量は遺伝によってかなり左右されます。

つまり、同じものを食べたり飲んでいても、人それぞれ感じている香りや味わいが違うわけで、『おいしい』と感じる味はひとつじゃないということですね。

たまに『おいしいお酒』ください、というお客様がいらっしゃいますが、その方にとっての『おいしい』とは何か、人によって違うということを忘れてはいけませんね。

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柳田酒造 その9『リナロール (後半)』酵素に注目してみると、結果として、『β-グルコシターゼ』では分解されなかった『リナリル配糖体』と、『α-テルピニル配糖体』ですが、『β-プリメベロシダーゼ』という酵素では分解されるということがわかって...
13/04/2025

柳田酒造 その9

『リナロール (後半)』

酵素に注目してみると、結果として、『β-グルコシターゼ』では分解されなかった『リナリル配糖体』と、『α-テルピニル配糖体』ですが、『β-プリメベロシダーゼ』という酵素では分解されるということがわかっています。

これはつまり、『リナロール』や『α-テルピネオール』が結びついている糖は、『プリメべロース』という糖ということだそうです。

『プリメべロース』は、『キシロース』が『グルコース』に結合した二糖類です。

では、芋焼酎の製造過程において、『リナリル配糖体』と、『α-テルピニル配糖体』は 『β-プリメベロシダーゼ』という酵素に無事出会って活性化することができるのでしょうか?

実をいうと、現時点までで私が調べた資料ではわかりません。

ただ結論として、『リナロール』は蒸留時の酸性下での加熱により『リナリル配糖体』からの遊離および『ネロール』や『ゲラニオール』からの変換で生じる、という実験結果があるそうです。

つまり酵素の力で『リナロール』が活性化するというよりも、酸性条件下の加熱という熱化学反応による活性化、さらには『ネロール』や『ゲラニオール』という別のモノテルペンアルコールからの変換という事象によって活性化が認められているのです。

結果としては、『β-ダマセノン』と同じように、もろみという酸性の液体で発酵したサツマイモの液体を蒸留することによる、『酸性条件下における熱化学反応』によって活性化することがわかっています。

加えて、『ネロール』や『ゲラニオール』からの『変換』⁉︎

もはやそんなのアリ?って思ってしまいますが、『ネロール』や『ゲラニオール』は『β-グルコシダーゼ』によって活性化していましたね。

つまり『β-グルコシダーゼ』は『リナロール』の生成に全く寄与していなかったわけではなく、二次もろみ中において『ネロール』や『ゲラニオール』を活性化させることで、『蒸留』の熱反応による『リナロール』への変換に繋がる因子を増やしていた、ということになります。

つまり『β-グルコシダーゼ』も、間接的には『リナロール』の生成に必要だったということですね。

ちなみに『千本桜 熟成ハマコマチ』では黒麹を使用していますが、『β-グルコシダーゼ』の活性は、白麹菌が生成するものより、黒麹菌が生成するものの方が2.7倍高くなるそうです。

対して黄麹菌の『β-グルコシダーゼ』活性は、黒麹菌に比べて1/10ほどだそうです。

さて、『リナロール』の溜出挙動を見てみたいと思います。

『β-ダマセノン』と同じ『中留区分頂点型』。

『リナロール』は『蒸留時の酸性下での加熱』という『β-ダマセノン』と同じ条件で活性化することからも、この結果は納得ですね。

つまり蒸留開始時、もろみの状態ではほぼ活性化していなかったということ。

そして『リナロール』と『β-ダマセノン』どちらも、蒸留の中盤で生成のピークを迎えることから、その時間帯の溜出液のみを抽出することで、より甘く、柑橘の香りの強い焼酎ができる、ということがわかりました。

最後に、モノテルペンアルコールは、植物の精油成分として自然界に広く存在し、芳香や薬理作用があるため、香料、食品添加物、医薬品などに利用されます。

そして、虫に対する忌避作用があり、一般的に植物が病害虫による攻撃で細胞が破壊された時に、細胞内の異なる場所に局在していた酵素(β-グルコシターセ)がと基質(配糖体)が反応することで生成されます。

その為モノテルペン配糖体は、サツマイモの表皮部分に多く分布しています。

これは何を意味するかというと、大きなサツマイモを使うよりも、小さなサツマイモを原料として使った方が、全体に含まれる表皮の面積が増えるため、モノテルペンアルコール特有の香気成分が、多く含まれる芋焼酎ができる、ということです。

ですが、小さい芋を作って欲しいといわれても農家は複雑ですし、焼酎蔵においても扱う個体数が増える分原料処理のコストが上がります。この方法は、あまり現実的ではないかもしれませんね。

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