そんな時代にするためには何が必要か?
2004年からずっと考え続け、自分の出した答えは飲む人、売る人がビールに対する基礎知識を広げ、ビールに対する要求基準を上げていくことです
いろいろと答えを模索する中で一番最初に始めたのはPANGAEAではビールのイベントを定期的に開催しビールの楽しさを広げていくことでした。
それはクラフトハートブルワリーでもNHKカルチャーセンターでも尾道自由大学でもいまだに続けていっていることです
日本酒やワイン、今は焼酎も飲む人の要求基準が上がってきているので飲食店は取扱いアイテムを増やしメニュー数を増やしてきました
まずはとにかく飲む人がビールの多様性に触れる機会を増やさなければなりません
そのために多様なビールに触れられる場所をまず増やさなければいけない
それはただビールの品ぞろえが良い飲食店や酒屋が増えればいいという単純な問題ではありません
ビールの多様性を理解し、その魅力を説明できるプロが必要です
そして何よりも本人がビールを愛し、ビールの多様性を楽しんでいること!
そして思ったことは
「もっと小さなブルーパブがいろいろな町に増えればいいな」
ということでした
私がPANGAEAで自家醸造を始めた頃はブルーパブという言葉すら一般的ではなかったのですが今や東京では40を超えるブルーパブが開業し、自家製ビール(※税法上の発泡酒も含むいわゆるクラフトビール)を提供しています
これは都心の先進性がなせる部分もあるでしょう
しかし車社会である地方にこそ徒歩圏内に町に根ざした小さなブルーパブが沢山できれば地元の人がわが町のクラフトビールを飲む”自産自消”型の経済活動に繋がり、それはその町を訪れるきっかけにも繋がる事だと思っています
ただしそこには大きな課題があります
私は勉強も兼ねて仕事などで出張するたびになるべく新しいブルーパブへ飲みに行くように心がけています
そこで品質にがっかりすることが多いのです
好きか嫌いかは好みなので気になりませんし醸造家さんがこんな味にしたいんだなと思っていることがそのビールから感じられればいきなり1年目から何十年もビールをつくっているベテランのように洗練されている味を求めることもありません
私の言う品質にがっかりするということはまず一つ目が醸造家として必要な基礎知識や官能評価に基づいた醸造が出来ていないということ
これはビールに限らずものを作る上で当たり前なことで、これが出来ていないというのはものづくりをしてはいけないレベルだと思っています
もう一つは醸造した人がこのビールで消費者に何を訴えたいのかが見えてこないことです
例えば味がハチャメチャでまとまりがなくてもそのビールから強いメッセージを感じられれば私は感動しますし応援したくなります
しかしどこかで飲んだことの有るような無難な味に仕上げているビールを飲むとそのビールからは何のメッセージも感じられずただ合格点のビールを飲んだだけという寂しさがあります
そこを備後福山 ブルーイングカレッジは変えていきたい!!
醸造家を目指す人、もしくはクラフトビール事業を立ち上げたい人にビールの基礎知識、醸造の基礎知識、そして何よりもビールの多様性と楽しさを伝えていきたい!
一般の消費者には自らビールを醸造するという醸造体験を通じて
仕事としてビールと向き合う人には座学と実地研修を通じて
ビールの多様性と楽しさを広めていきたい!
備後福山ブルーイングカレッジはそんな醸造体験工房を目指した醸造所です
※注 便宜上ビールやクラフトビールという言葉を多用してきましたが備後福山ブルーイングカレッジは発泡酒製造免許で醸造免許を申請中です。そのため備後福山ブルーイングカレッジで作られるものはすべて税法上は発泡酒に分類されます