
29/03/2025
コンドリューとは
コンドリュー地区のワインに関しては他のフランスワインに比して巷間あまりにも情報が少ないのではないだろうか。少しこのテーマで掘り下げてみたい。(以下はあくまでも個人的な見解である)
先ず考えたい事としてワインの楽しみ方として熟成したコンドリューワインの存在で、ボルドーやブルゴーニュのワインの様に実はヴィオニエにも成熟したワインの楽しみ方が存在する。恐らくワインの専門家達のアドバイスは「ヴィオニエは早く飲め」だろう。しかし私の経験上そうは断言出来ないと思っている。むしろコンドリューは適切な時期を待って飲むべきなのだ。
確かに現在入手可能なコンドリューには明らかに早い時期での消費を強要する銘柄も存在する、と言うか多くのコンドリューワインはこのタイプに属する。その為、「コンドリューは早く飲め」となる。それではどの様なコンドリューの銘柄が熟成を必要としているか、だ。ワインを鑑賞する立場からコンドリューをこの二つのカテゴリーに分けてみよう。
7年待って15年以内で飲めと称されるのがシャトーグリエだがこのワインの評価は10年以上経たないとその真価は理解出来ないだろう。その様に造られているのだから従うしか無い。保存さえ良ければ30年経っても深淵な味わいを体験出来よう。その様なヴィオニエは今現在の所ジョルジュ・ヴェルネイのコトー・ド・ヴェルノン、シャイユー・ド・ランファン等の単一畑もの、代替りしたデュマゼ、若手ではフォーリューのVV、グザヴィエ・ジェラールのシャティヨン、それにピシャも可能性がある。
これらは早い内に飲めるかもしれないが充分な熟成期間を与えるべきだ。我慢したその結果は素晴らしい体験が出来るだろう。単にエキゾチックなフレイバーを有するだけでは無く複雑で種々のアロマを楽しむ事が出来る稀有なワインとなるのだ。
早い飲み頃を強要する銘柄と言うのはあくまで自身の体験に基づいているのだが、熟成を期待して10年以上待って試した結果がピークを過ぎていたり、あまりアロマの亢進を実感出来ないもので大凡のこの様な作り手は早い飲み頃の味わい方を意識して醸造していると思われる。また残念な事にそんなワインは巷間もてはやされている著名所のワインである事が多い。
イヴ・キュイロン、フランソワ・ヴィラール、ガングロフ、ギガルのドリアーヌ、ゲラン等は全てそんなワインと思う。早い内は充分に楽しめるが、これらは10年以上経ると鑑賞に値しないピークを過ぎたワインとなる。早く飲めと言う作風は早く売ると言う商行為の都合上では致し方の無い選択かもしれないが、一方で深淵なワインを目指す作り手も存在するのだから味わう我々もより良いワインを見極めるべきだ。
コンドリューの生産者でも近年は熟成を意識して醸造する作り手が増えているのは頼もしい限りで彼らの醸造スタイルが価格ばかり突出する有名処のワインに駄目出しする存在となって欲しいと思う。ローヌワインファンにとってドリアーヌとシャトーグリエでは天地ほど異なる性格のワインである事を知って欲しい。