
02/08/2025
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~ 想いは今に受け継がれ ~
ルーピをご存知だろうか?
僕は知らなかったが、僕より年上の人が何人か知っていた。
その一人、ジュンジーノの八島シェフは言った。
「知ってるもなにも、リグーリアいうたらルーピしかあらへん時代やったから」
そうおっしゃる八島シェフのお店で過日、ルーピのオーナー二人と食事を楽しんだ。
ルーピのオーナーは写真のふたり。
左がジョルジョ、そして右がマルコだ。
二人はいとこで生粋のリグーリアっ子。ペックアグリという農業会社を経営している。
ペックアグリとは?
というところから説明すると、
リグーリア西部に拠点を置く農業会社。
ペックアグリ(PEQ Agri)
Passione(情熱)
Eccellente(スゲーよ)
Qualita'(品質)
Agri(農業)
要するに、農業が好きだーっていう人たちの集まり(笑)
パンフレットにそれが溢れてるね✨
農業に関わる全て、野菜やオリーブオイル、酪農、養蜂、養鶏などなど。そのひとつに、ワインがある。
また、ヴィーニャマーレというリストランテも経営していて(なんとミシュラン2つ星)、
そのリストランテで使う食材は全てペックアグリが供給している。
つまり、人間の本来の姿である自給自足の生活を高いレベルで今に実現している会社なのだ。
そして、ルーピのこと。
トンマーゾ・ルーピによって興された、地元のブドウを大切にするカンティーナ。
最初、兄と共にエノテカを開業し、主にピエモンテからバルクワインを仕入れ販売していた。
軌道に乗っていよいよリグーリアのワイン販売を考えたが、当時の西リグーリアでは質を追求するプロフェッショナルな栽培農家がいなかったので、自身でブドウ栽培を開始すべく、カンティーナ・ルーピを創設した。
とはいえ、質の高い栽培技術と醸造技術を持ち合わせていない。
その技術を持った場所を模索した末、彼は一旦地元を離れ、ピエモンテとヴェネトへと向かった。
醸造技術における激動の変革期だったこの時代、ワインの品質向上を目指すにはレベルの高い専門家に任せるべきと考え、多くの優良なカンティーナや醸造家との絆を深めるに至った。
かのルイジ・ヴェロネッリともこの時期に親交を深め、ルーピの醸造はドナート・ラナーティに依頼することとなった。
一緒に食事していたマルコは、僕がドナート・ラナーティのことを知っていることがたいそう嬉しそうだった。
ドナート・ラナーティ。その名を知らない人でも、
キアンティ・クラッシコのイゾーレ・エ・オレーナ。
チロのリブランディ。
ファロのパラーリ。
アルトアディジェのコルテレンツィオなどの銘醸を知らない人はいないだろう。
ドナート・ラナーティはイタリアワインの品質が急激に上昇した時代の、縁の下の力持ち。
そんな彼が、リグーリアで手掛けたのがルーピなのです。
もうひとつ、トンマーゾが地元に必要と感じたものがある。
それは、他のエリアにはあるが地元になかった、農業協同組合のような存在だ。
彼はリグーリアの美しい土地、土壌や気候、ユニークなテロワールを表現すべく、ブドウ栽培農家たちとのネットワーク構築に注力し、いちカンティーナから農業企業へと昇華させたのだ。
1980年代には、100人ものブドウ栽培農家が彼らのプレス機を使ってブドウが絞られている。
それらのブレない行動は彼が亡くなった今も語り継がれ、彼は地元の英雄となっている。
つまりはリグーリアにおける品質向上の先駆者なのです。
八島さんの冒頭の言葉が頷けますね。
トンマーゾには、後継ぎがなかった。
歴史ある偉大な造り手を廃業から守るべく手を差し伸べたのが、彼と志を同じくするペックアグリだ。
ルーピは、今も昔と変わらない信条でもってワインを造り続けている。
八島さんがルーピを扱い続けていらっしゃるのは、ノスタルジーだけではありますまい。
そして、先のフーデックス大阪で出展していた彼らを訪ねたお客さんから、
「メチャ美味しい!」ってすぐさまオーダーが入るくらい、説得力ありありなのも、大いに頷けるのです。
八島さんはそんなルーピのために、特別にコースを考えて下さった。
とりわけ、彼らのヴェルメンティーノとピガートには、
タリアテッレ・セモラ 甲殻類 花びら茸
アコウ鯛 バジリコ ウニ
この2皿が超絶よく合った✨
ルーピのワインを大昔から知っているからこその、アッビナメント・ペルフェット。
八島さん、貴重な体験をありがとうございました✨
そして農業大好き!なマルコとジョルジョ。
そしてそして!この楽しい時間を創ってくれた仙石の吉岡さん、深山さんも、ありがとね✨
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